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古語辞典のキホン1~歴史的仮名遣いを見分けよう

生徒の皆さんは、分からない単語があった時に辞書を引いていますか。ネット検索する人もいるでしょうし、それで事足りる場合も多いと思います。しかし、それでも辞書を引くことに意味があるのは、辞書は、学ぶための様々なヒントも合わせて教えてくれるからです。

古文は、現代の日本語と少し異なる文法で書かれています。また、現代と似た言葉でも、当時の時代背景や社会文化の違いを知らないと、意味を取り違えてしまうこともあります。古語辞典には、そのルールや知識が簡潔に書かれていますが、辞書特有の表記方法を知らないと読み取ることができません。本記事で、古語辞典を読む際のキホンを押さえておきましょう。


ヱヴァンゲリヲンって日本語?

有名なアニメ映画シリーズ「ヱヴァンゲリヲン」をご存じでしょうか。この映画のタイトルは、「ヱ」や「ヲ」というカタカナが使われています。現代では通常使わないこの書き表し方は「歴史的仮名遣い」と呼ばれています。

注:「エヴァンゲリヲン」は、株式会社カラーの商標登録です

実は、古く奈良時代の日本語には、現代の五十音よりも多くの音韻があったとされています。当初、発音と仮名の関係は1対1であったと考えられていますが、平安時代を経て、似た音は徐々に統合され、「ヱ」と「エ」、「ヲ」と「オ」も、鎌倉時代には、ほぼその発音上の区別がなくなったとされています。

しかし、同じ音になったとしても、別の役割であるならば、文章で書く場合には、別の文字で書き表す方がわかりやすくなる場合があります。仮名遣いとは、日本語を「かな」で書き表す際のルールのことです。現代でも「を」と「お」は同じ音ですが、「本を読む」のように格助詞には「を」を使うことで、文章として読みやすくなりますよね。

「歴史的仮名遣い」は、通常、平安時代以前の文献の仮名遣いを基準として、江戸時代の国学者、歌人でもある「契沖」が提唱したものがベースとされています。この仮名遣いを理解すれば、当時の日本語の文献がより読みやすくなるはず、なのです。

生徒の皆さんが直面する現実問題としても、古文の試験問題では、歴史的仮名遣いが使われていますし、古語辞典における「見出し語」(検索する対象となる言葉)も歴史的仮名遣いで記載されているので、歴史的仮名遣いの知識は必須になります。

現代仮名遣いと歴史的仮名遣いの違い

まずは歴史的仮名遣いに基づく五十音表を眺めてみましょう。

現代の五十音表と違いは「ヤ行」と「ワ行」で、読み方としては「やいゆえよ」「わいうえお」となります。冒頭の「ヱ」(=ゑ)は、ワ行に含まれていますね。これ以外にも様々な発音に関するルールがあります。重要なものとして下記があります。

  • ①ハ行の仮名が、古語の「語中」や「語尾」において使われるときは「わいうえお」と読む
     例:「こひ」=こい(恋)、「あはれ」=あわれ
  • ②「ぢ」「づ」は「じ」「ず」と読む。
     例:「もみぢ」=もみじ(紅葉)、「いづこ」=いずこ(何処)
  • ③「くぁ」「ぐゎ」を「か」「が」と読む。
     例:「くゎし」=かし(菓子)、「えいぐゎ」=えいが(栄華)
  • ④「ア段」「イ段」「エ段」に「う・ふ」が続くときに、長音で読む。
     例:「てふ」=ちょう(蝶))、「せいせうなごん」=せいしょうなごん(清少納言)
出典:新全訳古語辞典(大修館書店)

では、実際の古語辞典での歴史的仮名遣いの表記の例をみてみましょう。

出典:新全訳古語辞典(大修館書店)

「入る」は「いる」と現代仮名遣いと同じですが、「居る」の方は「ゐる」と歴史的仮名遣いを使うことがわかります。「ゐる」には、現代仮名遣いでの表記も記載されています。

この例のような同音異義語は、もちろん漢字表記であれば一目瞭然ですが、もし漢字表記ではなくても、歴史的仮名遣いでの違いを知っていれば、意味をとりやすくなります。

Brain+で古語辞典を引く際に、歴史的仮名遣いの入力が必要?

ところで、Brain+のようなデジタル辞書では、普段使わない歴史的仮名遣い自体を文字入力するのが意外と面倒だったりします。しかし、ご安心ください。実はBrain+では「歴史的仮名遣い」でも「現代仮名遣い」でも、どちらでも古語辞典を引くことが出来ます。(旺文社 全訳古語辞典(旺文社)、新全訳古語辞典(大修館書店)の場合。一部の単語を除く)

例えば、「参る(=まゐる)」という単語を検索したい時は、「ゐ」の文字入力ができなくてイライラする必要はありません(笑)。「まいる」でも「まゐる」でも「参る」でも検索ができます

出典:旺文社 全訳古語辞典(旺文社)

このようにBrain+の場合は、歴史的仮名遣いを正しく見分けなくても、検索ができるのはメリットなのですが、検索した結果(見出し語)には、歴史的仮名遣いが使われていないかを確認するようにしましょう。

例えば、歴史的仮名遣いの例としてあげた、恋や紅葉は、古語においては、動詞であることをご存知でしょうか。「こひ」は、こひず、こひて、こふ、こふるとき、こふれども、こひよ、と活用します。実は、恋や紅葉は「恋ふ」「紅葉づ」の連用形が名詞として現代に残ったものなんですね。恋を「こひ」として歴史的仮名遣いで記憶しておけば、古文で動詞の「こふ」をみたときでも、これは活用形だと、すんなりと理解できることでしょう。

歴史的仮名遣いのルールを理解することは、古文を読む際に訳に立ちます。上記に挙げた基本的なルールをあらためて確認してみてください。

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