言葉って面白い。辞書をひいてみませんか?
普段何気なく使っている言葉も、他の人に正確に説明してください、と言われると、戸惑うことがあると思います。
例えば「動物園」を説明できるでしょうか。動物がいっぱいいる施設?? だとすれば「水族館」や「サファリパーク」は動物園でしょうか? では「猫カフェ」は動物園ではない?
そんなときは、ぜひ辞書をひいてみましょう。
新明解国語辞典では、動物園を次のように定義しています。
難しいですね(笑) でも、色々な示唆が詰まっています。捉えてきた動物を野生から遊離、していること。娯楽施設だが、目的は「啓蒙」をかねていること。
「猫カフェ」は娯楽施設だと思いますが、啓蒙もかねているでしょうか。いや、猫の愛らしさを知らしめるという意味では、十分兼ねている気もしますが・・。
辞書は、考える際に役立つ道具
このように、言葉の意味を一つ一つ丁寧に扱うことが、物事や状況を客観的に理解し、自らの考えに落とし込む上で役に立ちます。
そもそも学問は、それはどういうことか、何故か、という問いを繰り返していくことが必要です。猫カフェという新しい事象に出会ったときに、猫とは何か、動物とは何か、を1つずつ積み上げて、思考を深めていくわけですね。
言葉は、論理や思考の基盤であり、辞書には、英知ある先人が様々な思考の過程で紡いできた言葉が凝縮されて詰まっています。生徒の皆さんが、受験だけでなく、生きていく上での思考力・判断力・表現力を高めていくために、辞書は重要な道具の1つになるでしょう。
辞書は、意味だけではない示唆を与えてくれる
一方で、言葉は、感情や情緒の基盤でもあります。日常会話でかわす言葉は、一人一人で違う印象を持っているかもしれず、場面場面で意味がかわることさえあるでしょう。
例えば、「こい」を説明できるでしょうか。鯉ではなく、コイバナの方ですよ。新明解国語辞典では、「恋」を次のように定義しています。
また難しいですが、心が高揚するが不安と焦燥に駆られる・・、何かドキドキして、分かった気がしてきます。
一方で、もっと恋って簡単だろ、と思う人は、他の辞書も調べてみましょう。Brain+(総合/基礎学習パック)なら、大辞林も、旺文社 標準国語辞典も合わせて調べられます。
大辞林では、恋を次のように定義しています。
簡潔に教えてくれましたが、気になるのは「古くは人に限らず・・」とあるところです。こんなとき、Brain+なら、古語辞典もすぐ引けるのがいいところです。
旺文社 古語辞典 には、次のようなコラムが載っています。
恋って、もともとは、人だけでなく事物でも良く、手に入ることを願う切ない気持ちとのこと。今日、人だけでなく、様々なモノや事象まで好きなる対象を「推し」と言ったりしますが、古来からの日本人の心情では普通のことなのかもしれません。
となると、恋は英語圏ではどんな定義をしているんだろう、と興味がわいてきませんか?
英和辞典、和英辞典、英英辞典で、ぜひ調べてみてください。
辞書は、一生もの、です。
言葉の定義は、辞書によって説明の仕方が異なる場合があり、見比べてみると面白いです。しかし、辞書ですら言葉の説明に違いがあるわけですから、お互いの思っていることを伝え合うことが簡単ではない、ともいえます。
そんな言葉の違いも乗り越えて、相手の気持ちを理解し互いに伝え合う際に、先人が思い悩んで煮詰めた言葉が詰まった辞書はきっと役に立つはずです。AIが簡単に美麗な文章を作ってくれる時代になりましたが、自分の思いは自分が納得できる言葉で語りたいですよね。辞書は学生の頃に勉強のために使うだけでなく、人生において使い続けることができます。ぜひ、色々な言葉を辞書で調べて、自分なりの言葉を見つけてみてください。